トランプ大統領の誕生とアメリカの分断
選挙結果の振り返り
トランプに投票した人を分けてみると、以下のようになります。
・男性のクリントン:トランプ=41:53
・女性のクリントン:トランプ=54:42
・白人のクリントン:トランプ=37:58
・白人以外のクリントン:トランプ=74:21
・収入が$50K未満のクリントン:トランプ=52:41
・収入が$50K以上のクリントン:トランプ=47:49
つまり、トランプに投票したのは男性及び白人が多かったです。低所得者層はどちらかというとクリントンの方に投票しています。
このようにいろいろと切り口はありますが、今まで大統領選挙をあまりちゃんと見てなかったので、驚いたのは郡(counties)ごとの結果でした。クリントンが勝っているのは大都市と地方の都市部だけです。日本でいうと、東京なら23区はクリントンだけどそれ以外はトランプ、宮城県なら仙台市はクリントンだけどそれ以外はトランプ、みたいな状況になっています。
激戦地だったフロリダでも、Miami、Orlandoなどの都市はクリントン優勢ですが、都市部以外はトランプが優勢になっています。この構造はどの州でもおおむね同じようでした。
アメリカ在住の方の声
このように都会と田舎が分断されているので、アメリカ在住の方からは以下のような声が聞かれるわけです。
まずは都市部で周りが民主党支持の方。
私はアメリカ在住だけど、周囲の9割は民主党支持者だし、トランプを支持する人なんてニュースでしか見たことがない。ぶっちゃけジョークだと思っていた。
— 零 (@zero_hisui) 2016年11月9日
この国の5割近くを占める(らしい)人々を、私はニュースでしか見たことがないのか…
次に田舎で周りが共和党支持の方。
私は田舎の米国在住。クリントン支持の同僚は一人もいない。
— 梓弓 (@Ma_R8) 2016年11月9日
トランプを支持していない同僚もクリントンは支持しなかった。
オバマを支持していた同僚ですらクリントンは支持しなかった。
大学関係者とか学生とか学校の教師しかクリントン支持者に会ったことがない。
米国の地域差は物凄くでかい。 https://t.co/KzFHoKfSbe
都会に住んでいたら、観光地でもない限り田舎に行って住んでる人と話したりしないし、逆に田舎の人もあまり都会の人と話す機会はないでしょうからね。
最高裁判事
上記の梓弓さんのTweetのまとめに出てくるもので、これはクリントンの敗因かもしれないなと思うものがありました。
アメリカの最高裁判事の任期は「終身」で定員は9名です。任期が「終身」なので、今就任している中で在任が最長のアンソニー・ケネディさんはなんと29年も最高裁判事を勤めています。
現在の最高裁判事はリベラル4名(年齢は56、62、72、83歳)、保守3名(年齢は61、66、68歳)、中間1名(80歳)、欠員1名です。欠員が出ているので、大統領と上院を押さえると保守系を増やすことができて、リベラルと保守を半々にまで持っていくことができます。在任中の判事が高齢なので、大統領の4年間の任期の中でさらに保守系に傾かせることができるかもしれません。
共和党支持者の中には、トランプは嫌いだけど4年間は我慢するか、という判断になった人もいたでしょう。
他には、製造業の不振や、オバマケアに対する不評などの観点ももちろんあるでしょう。ポリティカル・コレクトネスについてはいろいろと言われていますが、いまひとつ信頼できる統計などがないので記述を変更しました。
まとめ
住むところが分断されていて、お互いに話したこともないような人たちの利害を調整したり、価値観を合わせたりするのはとても時間がかかりますね。複雑に入り組んだ都会と田舎では簡単に分けるというわけにもいかないし、アメリカは都会と田舎で権力を奪い合いながら進んでいくのでしょう。
これを踏まえた投資先としては、そういった田舎にある製造業・鉱業などもあるでしょう。そういった業種の雇用を確保していくということを、トランプが選挙中に表明しています。いったんテクノロジーセクターは下がっていますが、GoogleやAmazonのように、政府にあまり関係なく自分で成長できる企業も問題ないと思います。