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コングロマリットディスカウントで企業の価値が下がる?

コングロマリットディスカウントとは

コングロマリット(conglomerate)とは、相互にあまり関係のない業務をいくつも行っている企業のことです。

例をあげると、ゼネラルエレクトリック(GE)、ジョンソンアンドジョンソン(JNJ)、バークシャーハサウェイ(BRK)などです。バークシャーハサウェイの場合は「鉄道」「エネルギー」「保険」「投資事業」という、相互にあまり関係がない事業を行っています。

コングロマリットディスカウントとは、こういった複合的な企業の価値が、部分の価値を合わせたものよりも低くなってしまうことをいいます。

例えば、ジョンソンアンドジョンソン(JNJ)は薬も作りつつ、日用的な必需品も売っているので、分けて考えるとヘルスケア(XLV)でもあり生活必需品(XLP)でもあります。ジムクレイマーによると、こういった評価になっていました。

現状では、これら3部門の間にはっきりしたシナジーがあるとは思えない。3つの事業は、それぞれ購入者も、製造工程も、販売ルートも異なり、規制のあり方や投資の性格も異なる。したがって経営方針も異なるはずだ。

医薬部門では、とりわけガン、主要関係の有望なか初途上の新薬の種を多く持っている。・・・1株あたり55ドルは十分つけられると思う。
消費者向けパッケージグッズは引き続きシェアを維持するだろう。・・・15ドルはいくだろう。
最後に、業界一の医療用機器部門がある。・・・40ドルの株価は軽いだろう。
独立性の強いこれら3部門が、それぞれ別社になりさえすれば、3社合計の価値は1株あたり110ドルは堅いだろう。(P288)

ジム・クレイマーの“ローリスク"株式必勝講座

ここでは当時のジョンソンエンドジョンソンの株価は明示されていませんが、要は、全体の価値が部分の価値を下回ってしまっているということになります。

コングロマリットのメリットデメリット

コングロマリットのメリットは、バフェットも株主への手紙のなかでふれているように、会社の中で分散投資されていてリスクを低減しているところです。また、うまく買収を重ねれば企業を成長させていけるところにもあります。

逆に、デメリットは、シナジーを生まないような多数の事業に分かれ、経営チームの目が届かなくなってしまうところです。

また、投資家やアナリストから見ると、事業が理解しにくくなってしまいます。どのセクター担当のアナリストが分析すればよいかわかりづらく、セクター分類もしづらくなってしまいますね。経営的な面から見ても同様に、企業哲学や方向、ゴールを理解しにくくなってしまいます。

実際には、分割してみないと価値がわからないところはありますが、コングロマリットディスカウントという言葉があるように、コングロマリットはそのわかりづらさからやや値引きされてとらえられるようです。

まとめ

コングロマリットディスカウントという現象は、投資家はコングロマリットに投資することを敬遠していることの表れでしょう。バークシャーハサウェイのようにカリスマ的な経営者がいる場合は、また違うのかもしれませんが。

合併の話はよくありますが、企業を分割した場合でも、分割後の価値を合わせたものは分割前より高くなる場合があるということを覚えておくとよいと思います。

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