トランプの経済政策はどうなる?
当選確定直後の株価などの反応
トランプの当選確定直後はリスクオフに傾くかと思いきや、予想に反して以下のような動きでした。
・株高(ダウ平均 +1.4%)
・債券安(米国債30年ものが2.88%まで利回り上昇)
・円安ドル高(1ドル105円)
リスクオンの動きばかりですね。想定外のトランプ当選でいったんは先物も下がったものの、財政政策出動、保護主義、利上げせずという政策なので結局はリスクオンと見込まれたのかと思います。ただし、ドル安誘導的な発言が多かったので、いったんドル高になったものの為替は是正されていくような気がします。
また、買われた銘柄は以下のようなものでした。
・金融(C BAC JPMなど)
・ヘルスケア(PFE MRK GILDなど)
・保護主義で恩恵を被りそうな資本財、素材(NUE CATなど)
トランプの経済政策
いままでの発言から想定される経済関連の行動は以下のようなものです。
・「ドル安誘導」と「FRB議長の交代」
これはどちらも世界経済に混乱をもたらしそうな行動です。また、金利を上昇させることには否定的なので、インフレを放置してバブルを起こしてしまう可能性があります。イエレンの任期は2018年2月までなので、交代のときの人事にも注目ですね。
実業家のドナルド・トランプ氏は、米共和党の大統領選候補指名を確実にしてからの2日間、こうした立場を思い切り楽しんでいる。だからではないだろうが、またしても大統領としてふさわしいとされる作法に反する発言が飛び出した。今度は、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長を交代させる意向を表明したのだ。
交代理由は、イエレン議長の仕事が不適切であるからというわけではない。トランプ氏は5日、フェデラルファンド(FF)金利を0.25%としているFRBの金融緩和政策には賛同する姿勢を示した。同氏は「強いドルの概念は好ましい」としながらも、ドル高は市場と貿易に悪影響を及ぼすと指摘。一方で金利が上昇すれば、米国の利払い費用が増大すると説明した。
・減税
法人税、所得税の減税を示唆しています。ただし、逆に財源確保のために国債が増発されて債券価格が下がることが予想されます。すでにトランプ当選直後には債券が下がっています。
トランプ氏は、勢いを欠く成長エンジンのてこ入れ策として、法人税を現行の35%から15%へ大幅削減する意向を表明。一方で「米企業が現在は国外に留め置いているが、今度国内に還流させる数兆ドル」に10%課税する方針も示した。
個人所得税に関しても、現在7段階に区分している所得税率を3段階に減らした上で、最高税率を現行の39.6%から33%へ引き下げるとした。また子育て世帯には、所得から育児関連費用を「全額控除」する考えも明らかにした。
・保護主義
TPPの脱退、関税の引き上げなどを主張していました。アメリカの製造業など一部の産業には恩恵はあるでしょうが、全体的にみると保護主義はあまり良い影響はないのではないかと思います。
トランプ氏の政策の立ち位置は「オバマ政権の否定」だ。その一つが自国産業への過激な「保護主義」。就任後、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)脱退を宣言する方針で、対米輸出が多い日本やメキシコ、中国の商品は関税を引き上げるとしている。
こうした保護主義の本格化は円高の加速とあいまって、自動車、電機など日本の輸出産業に打撃となる。
日本貿易振興機構(ジェトロ)の推計によると、昨年の商品貿易での米国の輸入総額は2兆2482億ドル(約230兆円)と、世界の約13%を占め、首位に立つ。世界最大の「買い手」が自由貿易に後ろ向きになれば、日本だけではなく世界的な経済の下振れ要因となり、金融市場の一層の動揺を引き起こしかねない。
まとめ
大統領選挙確定後の株価などの動きと、これまでの発言を振り返ってみました。他の論点としては金融規制緩和、オバマケアの廃止などもあります。
まだ実際の政策として何が出てくるかは不明で、分かるまでには数ヶ月はかかるので、直近ではそこまで株価は動かないのではないでしょうか。また、大統領、上院、下院とも共和党が占めているとはいえ、上院は僅差(52:48)なので極端な政策は通らないと思います。
短期的には素直に金融、ヘルスケア、資本財及び素材の一部、債券安に乗っておくのが良さそうだと思います。