シェールオイル・ガス5社の比較(4)
はじめに
シェールオイル・ガスを生産している会社の比較です。
オイル・ガス価格の下落で各社とも業績が厳しく、資産の売却や価格のヘッジをしながらなんとか乗り切ろうとしています。ここで比較しているのは5社です。
・デボン・エナジー(DVN)
・チェサピーク・エナジー(CHK)
・EOG(EOG)
・パイオニア・ナチュラルリソーシズ(PXD)
・サウスウェスタン・エナジー(SWN)
今回はバランスシートを見てみましょう。
純利益の再確認
バランスシートを見る前に純利益を再掲しておきます。基本的には、純利益が出ないとバランスシートが悪化します。個人に置き換えてざっくりいうと、純利益はある期間の収支、バランスシートは貯金のようなものです。つまり、月々の収支が赤字だと、貯金が減って他者からの借金に頼らないといけなくなり、財務状況が悪くなります。
総資産の比較
総資産=総負債+株主資本です。資産というのは設備だったり現金だったりします。他者から借りたお金(総負債)や、自分の資金(株主資本)をもとに、設備を購入したり、一部を現金で持っていたりするということです。
PXD EOGは比較的総資産が減少していないのに対して、DVN CHK SWNはかなり総資産が減少してきています。2015Q1を基準にした減少率は、DVN -34.87% CHK-49.49% EOG -22.23% PXD +5.57% SWN -47.98%となっています。9ヶ月で総資産が半減というのはほんとに厳しいですね。
総負債の比較
総負債は主には他者に借りたお金です。
実際の総負債はいろいろなものを含んでいるので、有利子負債(Debt)だけも比較しておきます。なかなか負債の圧縮は進んでいません。
株主資本の比較
株主資本は「株主の出資によるお金+これまでに稼いだお金」です。マイナスになれば即倒産というわけではないですが、他者のお金に頼らなければならない状況に陥ります。CHKとSWNはこのままいくともうすぐゼロになりそうな勢いです。
まとめ
今回はバランスシートを見てみました。CHK SWNはけっこう危なく、DVNも下げどまっていないようです。株価のピークからの落ち込みに差があるのも納得できますね。
ただし、倒産したからといってオイルやガスの生産が止まるわけではありません。倒産しても債務返済のために操業を続ける可能性が高いです。WTIもBrentも40ドル近辺にまで上がってきましたが、また25ドル程度にまで下がるときはあるのではないでしょうか。また、株価と原油価格の相関が高いので、今年は少なくとも1回は年始のような下げが見られると予想しています。
次回はCHKとPXDをもう少し詳しく見てみます。
決算資料へのリンク
記事一覧
シェールオイル・ガス5社の比較(1) - Invest Shift
シェールオイル・ガス5社の比較(2) - Invest Shift
シェールオイル・ガス5社の比較(3) - Invest Shift
シェールオイル・ガス5社の比較(4) - Invest Shift